風と水の道(その2)

菌糸と落ち葉と乾燥

さてさて、陽当りだけじゃなくて、水と風も気にしましょうということで、この場所...

看板の後ろ... 

奥の方に急に地面の様子が変わっているエリアが見えませんか?

近づいてみると…

草がなくて、灌木(おそらくヒサカキ)がポツポツと。前回の活動で、間伐班が整備していたエリアですね。

広葉樹林なので落ち葉が積もっているし、もっと植生が豊かでもいいはずですけど...

ざくざくと落ち葉を踏みながら入ってみます。

地面はこんな感じ。

落ち葉が積もって、いい腐葉土になってそうですが...

からからに乾いています。落ち葉の下層は砕けて細かくなっていますが、ふわっと地面に乗っかっている状態。

微生物の働きで分解されていれば、菌糸の力で地面に絡みついて固定されるものなんですけど。

ちなみに今日は朝から晴れていましたが、昨夜は夕立。もう少し地面が湿っていてもいいと思うんですけどね。

試しに水を流してみました。ペットボトル1本分です。

落ち葉の下をサーっと流れていきました。

その距離、60㎝くらいでしょうか。(流れが消えたところにペットボトルのキャップを置いてます)

微生物の働きが弱く菌糸が広がらないので、地面に積もった落ち葉は表土に絡みつくことなくふわっと乗っかったまま。雨は地面に浸透することなく、落ち葉と表土の間を流れ落ちる。雨が強ければ、落ち葉も全部谷に流されてしまうでしょう。

乾燥しているから菌糸の働きが弱い。菌糸の働きが弱いから乾燥してしまう。

負のループです。

残った広葉樹と除伐後芽吹いてきたヒサカキの根がこの斜面を支えています。降った雨が樹の根を伝って浸透していく地下への水の通り道と、大木と灌木の根のネットワークがあるおかげでこの斜面は崩れずに済んでいるのではないでしょうか。

気になったので、土を少し採取。

深さ10㎝くらいを切り取って容器に詰めます。

一方、こちらは、草刈り班が整備していた場所。

落ち葉をかき分けて土を探しますが、手で払ったくらいでは土は見えません。落ち葉は徐々に細かくなり、微生物に分解された状態で土と一体化しています。先ほどの細かく砕けただけの状態とは明らかに違いますね。

こちらも水を流してみます。同じくらいの傾斜の場所を選んでいます。

ナイフは開始地点を見失わないようにしただけで、特別な意図はありません。

スッとしみこんで見えなくなりました。流れた跡を探してみると…

25cmくらいですかね。

ここの土も採取しました。

採取した土はこんな感じです。

深さ10cmくらいを切り取るように採取したんですが、正確ではありません。

どっちがどっちだか、一目瞭然ですね。右が乾いていた広葉樹林、左が下草の多いエリアです。右の方が細かい粒子なのがわかります。左はいろいろなものが混じってますね。

水を注いでみました。

右の乾いた広葉樹林の土はなかなか水が浸透していかないのが見えますね。左の下草エリアの方はスッと水がしみこんでいきます。

何か面白いこと起きるかと思って、振ってみました。

しばらくすると、右は土の層ができてきました。細かい土の粒子が舞い上がってからゆっくり降りてきたのだと思います。いわゆる泥でしょうね。左の方はそれが見えません。泥の粒子がゼロというのも考えにくいので、草の残骸の隙間に捉えられているのだと思います。

採取した土は元の場所に返しておきました。

結論として、ここの広葉樹林に下草が生えないのは、日照の問題じゃなくて乾燥と思われます。

残った木の根を通して、かろうじて土壌が水を得ている状態。樹が必要としている水よりも、土壌に浸透する水が少なければ木は枯れます。そういえば、この辺、枯損木多いのでは?

近年流行している「ナラ枯れ」。木が勢いよく水を吸い上げていれば、カシノナガキクイムシは窒息して深くまで穿孔できないと言われます。

乾燥している広葉樹林にカシノナガキクイムシが飛来したら…

僕には秒読み段階のように見えるのですが、いかがなものでしょうか?

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