二酸化炭素のこと。

地球温暖化の危機が叫ばれ始めたのは今から30年程前のことです。

その間、人間たちはこの問題を先送りしたり、温暖化なんてまやかしだ!という反対意見が出たりで、なかなか地球全体としてこの問題に取り組むという機運が起きませんでしたが、やっと近年になって各国の政府、さらには全世界の市民たちにその危機的状況が認識されるようになってきましたね。

今私がパソコンでこの文章を書いているこの瞬間にも、使用している電気は石炭火力発電で得られたものかもしれないし、パソコンを生産する際にも多くのエネルギーが消費されているし、私が今住んでいる家だってその鉄骨を作る際には莫大な石炭が燃やされているわけで、私たちの暮らし自体がたくさんのCO2を排出しています。今更言うまでもありません。

近年は温暖化に対して皆が危機感を持ち始めたので、燃費のいい車に買い替えたり、車を使わずに自転車で買い物に行ったりと、皆それぞれCO2排出削減の努力をする人が増えているように感じます。

ところで、皆さんが行っている努力は主に排出を減らす努力であって、大気中のCO2を吸収して減らす努力をしている人は少ないのではないかと思われます。

私は昨年12月に東京のビッグサイトで開催されたSDGs関連の展示会「エコプロ2021」を見学してきました。ちょうどコロナ患者が減っていた時期だったので会場には数万人が訪れていました。

そこでいろいろな展示ブースを見ながら環境関連の最新の技術や、SDGs関連の情報に触れることができたのですが、今回、樹木によるCO2吸収に関する情報を得ました。それは、「木は最初の10年~20年は、積極的に大気中のCO2を吸収してくれますが、それ以降はCO2吸収と排出の量がイコールになる」ということです。(注:これには諸説あります、、、)

つまり、樹齢20年以降の木は大気中のCO2を減らす効果は無くて、あるのはCO2を吸収して固定する効果だけです。(この吸収固定効果だけでもすごいことですよね。)

CO2吸収量のピーク時期を樹種別にみると、スギ20年、ヒノキ20年、ナラ10年、カラマツ10年、ブナ20年となります。(出典:長野県 森林CO2呼吸評価認証制度 算定基準)

かつての里山ではナラなどのどんぐりの木は10年~20年程度で伐採されて、薪炭材やきのこのホダ木として使われていました。

この10年から20年というのはまさに、CO2を積極的に吸収してくれる時期そのものです。

里山や雑木林には「積極的にCO2を減らす。」という意味もあったのですね。(過去形です。今は伐られてないので皆巨木になっちゃってますものね。せっかく巨木になったのだから家具などに利用できたら良いんだけどなあと思います。

針葉樹の人工林の場合も、植林→育成→間伐→主伐のサイクルでうまく循環させれば、山には若い木、中年の木、壮年の木が常に存在するようになるので、若い木には積極的に大気中のCO2を減らしてもらい、中年・壮年の木にはCO2を固定してどんどん太く大きくなってもらうという具合に仕事をしてもらうことができますが、放置されている人工林ではこのサイクルが回っていないので壮年の木ばかりになっています。日本のすべての人工林がこの本来のサイクルで回るようになることを願います。(そのためには、十分育った木を伐って利用することが重要なのですが、この伐った木を使うということがまた難しい問題なんですよね。)

(注:樹齢とCO2吸収量に関しては諸説あるようで、違う学説もありますが、今回の展示会では環境省と林野庁のブースでこの情報に接しました。特に林野庁関連団体のブースでは、国土や自然環境における木の重要性、CO2を固定して貯蔵するという木の重要な働きなどを踏まえて、建築物の木造化/木質化を促進するための啓蒙目的で出展していたようです。人工林が何十年も管理されて良い材を生み出すことに水を差すような意図は感じられませんでした。

※今回紹介した学説を、成長途中の人工林を皆伐してしまおうという場合の理論的根拠にするケースがあるそうで、ちょっと注意が必要な学説です。)

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